
合鴨農法とは、稲作を行う水田にアイガモを放して、アイガモと一緒に米作りを行う農法です。
アイガモたちのおかげで、農薬や化学肥料を使わないお米を栽培できています。
群れを作り、楽しそうに泳ぐアイガモたちですが、様々な利点を生んでくれます。
①田んぼの害虫を食べてくれるため、殺虫剤を使いません。
②動き回ることで水が撹拌されて濁るため、日光による雑草の発芽や成長を抑制します。
アイガモだけで完全に雑草を抑えることは難しいですが、除草剤も使いません。
③アイガモの糞もイネの生長を助ける肥料となります。このため、化学肥料も使いません。
反対に、生き物を飼うことに伴う大変な面もたくさんあります。
①脱走防止及び外敵対策
周りを囲わないと逃げて行ってしまうため、ネットや電線で田んぼを囲みます。
また、陸からはタヌキやイタチ、ハクビシンなどにアイガモが狙われるため、侵入防止用の電気柵を設けています。空からもカラスやノスリなどの野鳥に狙われるため、田んぼの上にテグスを張りめぐらせます。
ネットや電気柵などの設置に手間がかかりますし、電線の漏電を防ぐためにも、畔のこまめな草刈が必要になります。
②エサやり
田んぼの虫だけではお腹いっぱいにならないので、毎日エサも与えます。食べるものがなくなるとイネをつついたりしてしまいます。
③水田からの引き上げ
8月に近づき、イネの穂が出てくると、アイガモがいたずらをしてしまうことがあるので、7月中下旬には水田から引き上げます。
その際、専用の柵を使っていますが、アイガモを捕まえることがとても大変です。
④雛の更新
毎年5月に、アイガモの雛を購入しています。
仮に大きく育ったアイガモを田植え直後に放すと、小さい苗は根の張りも弱いため、なぎ倒されてしまいます。そのため、雛がイネと共に成長していくことが理想です。
色々と課題も多いところですが、アイガモたちの元気な姿は、一見の価値があると思います。
田宮農園では、引き上げたアイガモを裏山で飼育し、秋から冬にかけて専門の食鳥解体加工業者に依頼し、食肉に加工していただきます。
米だけでなく、鴨肉を食卓に届ける畜産の側面も持ち合わせています。
アイガモたちが活躍するのは、米作りの中の短い期間ではありますが、とても重要な役目を担ってくれています!
一緒にお米を育ててくれるアイガモへの敬意は忘れません!